気まぐれ菜園
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「なぁ、沙都子。もう少し普通に、な?」
「お〜ほほほ。何を甘っちょろいことを仰っているのですの?」 困惑の声で譲歩を願う圭一さんの言葉をばっさりと却下する。圭一さんが戸惑う事など初めから分かっているのだから、想定内の反応をされれば、想定済みの返答をするだけだ。譲歩する理由などどこにもない。むしろ、そんな当たり前の反応をされた事に失望を覚える。 「これは罰ゲームですのよ?私だって圭一さんにチョコをあげなければならないなんて心外ですわ。でも、罰ゲームの実行は部員の義務。仕方なくでしてよ!」 「いや、だからってなぁ…これはやばくないか?」 煮え切らない態度の圭一さんに怒りを覚える。こんなのは圭一さんらしくない。にーにーとは認められない! 「もう、先ほどから文句ばかり!女々しいにも程がありますわ!!恨むんならチョコの渡し方を指定しなかった自分を恨むんですわね!!」 思わず声を荒げてから、ようやく気付いた。圭一さんの真剣な顔に。それに戸惑って言葉が止まったその隙に圭一さんの言葉が滑り込む。 「沙都子。正直に答えてくれ。これは誰に吹き込まれた?魅音か?それとも詩音?レナ…は違うよな?沙都子が一人でこんな事考えつく訳がない」 私の目をまっすぐ見据えて語りかけてくる圭一さん。その姿に、にーにーの面影を見た気がして、つい正直に答えてしまった。 「…梨花、ですわ」 「梨花ちゃんかっ!全くどこからこんな知識を仕入れてきてるんだ、あの耳年増狸娘は!?」 全身を怒りにわななかせて、走りだそうとする圭一さん。それを私は慌てて制した。 「梨花は悪くありませんわ…多分、私のためを思ってでしてよ。梨花を叱らないでやってくださいまし。」 その言葉に圭一さんは思いとどまったようで私の前に戻ってきた。 「そうか。まぁ、今回は梨花ちゃんにしてやられたってことで…」 苦笑する圭一さん。それに私も微笑み返す。そして… 「それはそれとしてさっさと食べてしまってくださいまし。このままでは私、動くに動けませんわ」 「え?」 困惑の表情を浮かべる圭一さん。何を言ってるんだという表情だが、それはむしろ私の方が言いたい。 「早くこのチョコを食べていただかないと動けないと言ってるのですわ。それとも、私をこのまま置いていくつもりですの?」 「いや、だって、その…」 再び歯切れが悪くなる圭一さん。まったく煮え切りませんわね! 「罰ゲームは罰ゲームでしてよ。拒否は許されませんわ。それに…なんかとてもいい気分ですのよ。梨花も良いことを教えてくださいましたわね。あとでお礼を言わないと。」 「あの、沙都子…さん?」 圭一さんはあからさまにパニックに陥っている。「さん」付けされてもどうともなりませんわよ?いくらかのやりとりの後、部活の掟を破ったら、魅音さん手ずから地下祭具殿で拷問フルコースだと告げたら、観念してくれた。全くしょうがないにーにーですわね。 でも、殿方を足下に跪かせるのがこんなに心地の良い物とは想像もしませんでしたわ…梨花にはたっぷりお礼をしないといけませんわね。 沙都子は総受けというのが基本ですが、たまにはこういうのも良いかと。元凶は梨花ですが。流石は百年の魔女(笑) 教室なのに私服とか、2月なのに寒くないのか?あたりは見逃してください(--; 体操服とかの方が良かったのかも、と今更思ったり。 ここにある画像は各作品の原作者および出版社、制作会社が著作権を保有しています。
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